SIer企業ってどこも同じ?
SIerは大手〜中堅まで色んな会社があります。
いまいち各社の違いが分かりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。
それもそのはず、SIerはお客さんのニーズに合わせた開発をするので、独自性が出しにくい業界です。
私自身SIerに勤めていても、競合他社が何をしていてどのような強みがあるのか、正直分かりにくいです。
実際のところ、どうなのかって外からは見えづらいですよね
今回は「営業利益率」の観点からSIerの比較をしました。
ぶっちぎりで営業利益率が高い企業があるなど、とても興味深い結果になっています。
営業利益率とは?
営業利益とは、売上から販売にかかった人件費や広告費を差し引いて、手元に残ったお金のことです。
そのパーセンテージ(営業利益率)は、会社がどれほど効率良くお金を稼いでいるかを表します。
業界によって営業利益率の水準は違いますが、営業利益率が高ければ高いほど、売上に対して手元に多くのお金が残ります。
そのため、
- 従業員にボーナスとして還元
- 将来への投資に回せる
など、関係者にとって良いサイクルが回りやすくなります。
つまり、企業や従業員にとって営業利益率の高さはかなり重要!
SIer業界の営業利益率の相場は?
営業利益率は、ビジネスモデル(収益モデル)に左右されるため、業界によって相場が大きく異なってきます。
SIer業界の営業利益率の相場は、10%弱程度です。
SIer業界はエンジニアの人出しビジネスなので、人件費がかかってしまい、営業利益率はそこそこの水準になりがちです。
営業利益率の向上は、SIer各社の課題としても挙げられていることが多いですが、それはまた別記事でご紹介します。
大手SIer企業の営業利益率
気になる各企業の営業利益率を実際に見ていきましょう。
今回は、大手SIer企業11社の売上・営業利益・営業利益率を、各社の決算情報をもとにまとめました。
企業名 | 売上(百万円) | 営業利益(百万円) | 営業利益率 |
---|---|---|---|
オービック | 83,862 | 48,077 | 57.33% |
NTTデータ | 2,551,900 | 212,600 | 8.33% |
富士通 | 3,586,800 | 219,200 | 6.11% |
NEC | 3,014,095 | 132,525 | 4.40% |
野村総研 | 550,337 | 80,748 | 14.67% |
日立製作所 | 10,264,600 | 738,200 | 7.19% |
NSSOL | 251,992 | 24,549 | 9.74% |
SCSK | 396,853 | 45,878 | 11.56% |
ビプロジー(旧ユニシス) | 317,600 | 27,425 | 8.64% |
TIS | 448,383 | 45,748 | 10.20% |
CTC | 522,400 | 50,500 | 9.67% |
オービックの営業利益率は、なんと驚異の57%…!
しかもその営業利益率は年々上昇しており、2022年度は60.50%となっています。圧倒的です。
高利益率のために、他のSIerでは絶対に真似できない取り組みをしており、SIer業界の中でも異彩の存在感を放っています。
売上の半分以上が利益とは…!驚き!
オービックの後は、野村総研、SCSK、TISと続きます。
オービックと比べると見劣りするものの、SIer企業で10%超えなのは、収益力があると言えるでしょう。
NEC、富士通、日立製作所はSIerだけでなく様々な事業を行っているので、利益率が低めに出ています。
例えば、日立製作所はIT事業に絞ると10%超です。
ただ、働くことを考えた場合、あくまで会社全体の成績が待遇に跳ねることは頭に入れておきましょう。
大手SIerオービックの営業利益率の源泉
SIer業界の営業利益率の相場は10%弱に対し、オービックは営業利益率が60%と異常なまでに高いです。
なぜそれほどまでに高いのか?気になりますよね。
高営業利益率の理由は、下記ような取り組みにあります。
通常、SIerは受注した案件の開発を協力会社(中堅SIerなど)に委託します。
例えば、顧客からは150万円で受注し、協力会社に100万円で委託することで、その差分が利益になります。
協力会社に発注をすることで、開発案件がない時に余分な原価(自社社員)を抱えるリスクを抑えられます。
その一方で、開発を協力会社に丸投げするので、自社には開発ノウハウが貯まりません。
私もですが、大手SIerのSEはマネジメント中心なので、ほとんどコードが読めないです…
そんな中、オービックは自社開発を徹底しています。
自社にノウハウが貯まり、結果的に開発効率が向上することで、効率よく稼ぐことができます。
自社社員がプロジェクトマネジメントからコーディングまで幅広く担えてこそなので、他のSIerには真似できません。
そのようなハイスペックな人材をどのように自社で抱えているのでしょうか?
答えは、新卒主義です。
昨今の人材不足により、中途採用に力を入れているSIer企業が多いですが、オービックは中途採用は一切していません。
自社にあった人材を一から育成することで、他には真似できないビジネスモデルを実現しています。
裏を返せば、仮に他のSIerのSEがオービックに転職したところで、活躍するのは難しいということでしょう。
多くのSIerは、お客様の要望に対してゼロからシステム開発をする、いわゆるスクラッチ開発が基本です。
スクラッチ開発では、毎回毎回ゼロから作るので、その分SEの原価がかかり、利益率は抑えられてしまいます。
その一方で、オービックは
- 勘定奉行シリーズ
- OBICセブン
などといった、高いシェアを誇る自社パッケージを有しています。
パッケージは一回作ってしまえば、あとはそれをライセンス料として売るだけ。
原価ゼロの売上が多く立つことで、高利益率が実現するというわけです。
前述したパッケージビジネスのクラウド移行にも力を入れています。
クラウドの場合、保守点検などの際に顧客のデータセンターに出向く必要がなくなります。
その結果、エンジニアの稼働率が高まり、効率良く稼ぐことができます。
オービックは、このクラウド移行の方針を徹底することで、今や新規受注の9割以上はクラウド。
数年前、オービックとコンペになったことがありましたが、やはりクラウド一本で提案をしていました。
オービックは代理店営業を行わず、全て直接顧客に販売しています。
直接販売・直接保守をすることで、
- 直接販売
- 顧客から直接フィードバックを受ける
- SEが自社開発で改善する
のサイクルが得られ、パッケージの完成度が極限まで高められていきます。
このパッケージの完成度や、顧客との結びつきの強さが、他にはない競争力(=高い営業利益率)です。
前述の通り、オービックは、他のSIerでは真似できない独自の取り組みをしています。
大胆な取り組みができる理由は「経営者」と「企業文化」にあります。
オービックの特徴として「オーナー企業」であるということが言えます。
創業者の野田 順弘氏が現在も会長として経営に関与しています。
余談ですが、FORBESの世界長者番付で行くと、日本で第10位の富豪です。
創業者だからこそ、忖度なく思い切った意思決定ができるといえます。
オービックには「家族経営」というコンセプトがあります。
例えば、オービックには下記の文化があるようです。
- 社員運動会が開催される
- クリスマスにホールケーキが配られる
上場企業としてはかなり珍しく、どこか良い意味で中小企業的な温かいカルチャーがあります。
新人教育を手厚く行い、社員の定着を重視してきたからこそ生まれる企業文化です。
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大手SIer企業の営業利益率
まとめ
本記事では、大手SIerの営業利益率についてまとめました。
SIer業界の営業利益率の相場は10%弱程度。
営業利益率の向上(=効率よく稼ぐこと)はSIer各社が頭を悩ませているポイントです。
その中でも、オービックは独自のビジネスモデルで驚異の営業利益率を誇ります。
下記の記事では、大手SIer企業12社の副業事情についてまとめています。
昨今のトレンドから、SIerの企業文化も大きく変化しています。
最後までお読み頂きありがとうございました。