SIer企業ってどこも同じ?
SIerは大手〜中堅まで色んな会社があります。
いまいち各社の違いが分かりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。
それもそのはず、SIerはお客さんのニーズに合わせた開発をするので、独自性が出しにくい業界です。
特に、各SIer企業のHP(特に新卒採用サイト)に自社の強みとして下記のような抽象的な文言が並んでいる場合は要注意!
- ワンストップサービス
- 総合力
- やり抜く力
実際にSIer企業で営業をしていても、自社の強みを具体的にアピールするのはとても難しいです。
今回は「ビジネスモデル」で差別化しているSIer企業3社についてご紹介します。
きっとこの3社であれば、自社の強みとして自信を持ってアピールできるだろうという3社です。
企業の強みには、企業文化や社員の雰囲気などもあるけど、やっぱりビジネスの強みがあるのが魅力!
SIer業界の一般的なビジネスモデル
SIerは「システム開発をしたいが、開発できる人手がいない」という企業に対して、ノウハウのあるエンジニアを提供することで、収益を得ています。
いずれにせよ、SIerが本質的に提供しているのはシステムではなく、システム開発をするリソース(エンジニア・作業量)を提供しているということです。
詳しくは、下記の記事で解説しています。
ビジネルモデルに強みのある大手SIer企業
下記の大手SIer3社の特徴的なビジネスモデルについて解説します。
- オービック
- 野村総研(NRI)
- 日立製作所
各社それぞれ興味深いビジネスモデルがあります。
1社目は、オービックです。
SIer業界の営業利益率の相場は10%弱に対し、オービックは営業利益率が60%と異常なまでに高いです。
その理由は、下記のようなビジネスモデルにあります。
通常、SIerは受注した案件の開発を協力会社(中堅SIerなど)に委託します。
例えば、顧客からは150万円で受注し、協力会社に100万円で委託することで、その差分が利益になります。
協力会社に発注をすることで、開発案件がない時に余分な原価(自社社員)を抱えるリスクを抑えられます。
その一方で、開発を協力会社に丸投げするので、自社には開発ノウハウが貯まりません。
私もですが、大手SIerのSEはマネジメント中心なので、ほとんどコードが読めないです…
そんな中、オービックは自社開発を徹底しています。
自社にノウハウが貯まり、結果的に開発効率が向上することで、効率よく稼ぐことができます。
自社社員がプロジェクトマネジメントからコーディングまで幅広く担えてこそなので、他のSIerには真似できません。
そのようなハイスペックな人材をどのように自社で抱えているのでしょうか?
答えは、新卒主義です。
昨今の人材不足により、中途採用に力を入れているSIer企業が多いですが、オービックは中途採用は一切していません。
自社にあった人材を一から育成することで、他には真似できないビジネスモデルを実現しています。
裏を返せば、仮に他のSIerのSEがオービックに転職したところで、活躍するのは難しいということでしょう。
多くのSIerは、お客様の要望に対してゼロからシステム開発をする、いわゆるスクラッチ開発が基本です。
スクラッチ開発では、毎回毎回ゼロから作るので、その分SEの原価がかかり、利益率は抑えられてしまいます。
その一方で、オービックは
- 勘定奉行シリーズ
- OBICセブン
などといった、高いシェアを誇る自社パッケージを有しています。
パッケージは一回作ってしまえば、あとはそれをライセンス料として売るだけ。
原価ゼロの売上が多く立つことで、高利益率が実現するというわけです。
前述したパッケージビジネスのクラウド移行にも力を入れています。
クラウドの場合、保守点検などの際に顧客のデータセンターに出向く必要がなくなります。
その結果、エンジニアの稼働率が高まり、効率良く稼ぐことができます。
オービックは、このクラウド移行の方針を徹底することで、今や新規受注の9割以上はクラウド。
数年前、オービックとコンペになったことがありましたが、やはりクラウド一本で提案をしていました。
オービックは代理店営業を行わず、全て直接顧客に販売しています。
直接販売・直接保守をすることで、
- 直接販売
- 顧客から直接フィードバックを受ける
- SEが自社開発で改善する
のサイクルが得られ、パッケージの完成度が極限まで高められていきます。
このパッケージの完成度や、顧客との結びつきの強さが、他にはない競争力(=高い営業利益率)です。
2社目は、野村総研(NRI)です。
NRIは、付加価値の高い案件・収益力の高いビジネスを行っています。
営業利益率は、オービックに次いで2番目。
15%程度とオービックからすると見劣りしますが、SIer業界でいうとかなり高いです。
効率良くお金を稼いでいるので、平均年収が飛び抜けて高い企業でもあります。
野村総研は、野村総合研究所(シンクタンク)と野村コンピューターシステム(IT企業)が合併してできた会社です。
シンクタンク機能(市場調査、コンサル)を持つことで、システム開発だけでなく、
- 市場調査
- コンサル
- システム開発
を一気通貫で提供できるのは、他のSIerにはないNRIの大きな強みです。
外からは中々分かりにくいけど、これはSIerにとってかなり大きい強み!
システム開発だけではなく、市場調査やコンサルから入り込めると、収益率がぐっと高くなります。。
例えば、ケーキ作りを例にすると、
- 世の中のニーズをもとに、売れるケーキのレシピを考えられる人
- レシピ通りに調理できる人
がいた場合、より価値があるのは前者ですよね。
SIerでも同様に、システム仕様が決まる前の段階(顧客の戦略策定)の支援にお客様は価値を感じます。
そこも支援できると、ビジネスとしての価値が上がり、収益性が上がります。
また、コンサルで信頼を勝ち取れば、後続のシステム開発も受注できる可能性が高まるでしょう。
付加価値向上(=収益性向上)の観点から、近年のSIer各社はシンクタンク機能の獲得に躍起になっています。
コンサル能力が既に備わっているNRIは、他のSIerと比べて一歩先を行っている状況で、大きな強みです。
シンクタンク機能によって業界や企業のニーズを先読みすることは、NRI独自のサービス開発にも活かされています。
NRIは金融業界、特に証券領域に強く、業界で広く使われる共同利用型のサービスを多数持っています。
NRIは顧客毎にシステム開発をするのではなく、シンクタンク機能やコンサル力を武器に業界としての課題を捉え、それをプラットフォームサービスにしているのです。
共同利用型なので、他のSIerに依頼するよりも安価に高品質なサービスを受けれるのが、顧客側のメリット。
安定的なビジネスとして、証券業界で独占的なポジションを築いています。
3社目は日立製作所です。
日立製作所は、SIer業界でもトップの売上高を誇る企業です。
歴史ある企業ですが、時代に合わせて変化を続けており、そのビジネスモデルも特徴的です。
日立製作所は、下記のようにリアルとバーチャルの両面を持った世界でも数少ない企業。
- 工場、鉄道、エネルギーといった設備の制御・運用技術といったリアルの世界のエンジニアリング技術
- コンピューティングやAI・セキュリティなどのテクノロジー技術
この両面の技術がある日立製作所の強みを活かして課題解決を行う、”LUMADA”という事業を展開しています。
例えば、デパートの顧客満足度を向上させるとなった場合、
- 店舗運営を効率化するシステムを導入する
- 顧客の行動をAIで分析する
- 館内のディスプレイで最適な広告を出す
などの施策が思い浮かびますが、それらを粒々で実施していては、なかなか期待する効果を得ることができません。
このような複雑性の高い問題解決のためには、リアル・バーチャルの融合が必須です。
日立製作所はリアル・バーチャルどちらにも基盤がある強みを活かし、他のSIerには真似できないビジネスをしています。
Lumadaについてもっと知りたい方は、こちらのリンク先をご確認ください。
日立製作所は、2021年に米シリコンバレーのIT企業「Global Logic(グローバルロジック)」を買収しました。
Global Logicは、従業員2万人を超える世界的なIT企業で、
- 顧客体験のデザイン
- アジャイル開発
- DX推進
といった高付加価値なITソリューションに強みを持っています。
従来のSIerは、決められた要件を着実に開発するのが得意でしたが、DXに必要なのはデザイン力とスピードです。
Global Logicは要件をデザインするところから実装まで、スピード感を持って進めることができます。
また、リアルとバーチャルに強みを持つ日立製作所の強みを顧客ニーズとマッチングし、システムに落とし込む重要なピースです。
Global Logicの買収により、LUMADAの世界観の実現が加速するでしょう。
日立製作所はここ10年ほどで、収益性の低い事業を次々と売却してきました。
最大22社あった子会社は現在11社までに減り、成長領域であるLUMADA事業にリソースを集中する体制を整えました。
実は、これだけの大胆な事業整理をできたのは、ほぼ日立製作所だけです。
日立製作所ほどの大企業が子会社を売却して、経営資源を集中するというのは、誰でも思いつく戦略ではあるものの、実行に移すのはかなり難易度高いのです。
売却は負けを認めることになり、その会社を率いてきたお偉いさんのメンツを潰すことになります。
また、売却対象の社員やOBの反対にも合うのもあるあるです。
それをやってのけた日立製作所は、会社として明確なビジョンと、経営層の実行力があると思われ、今回選出の一因となりました。
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IT業界は
- 昨今のデジタル化の需要により、高年収
- リモートワークやフレックスなど、働き方の柔軟性がある
といった魅力がある一方で、空前の人手不足。
IT企業各社は採用を強化している状況です。
そのため、実は未経験者でもチャレンジしやすい環境があります。
「でも、自分にはITスキルがない…」
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ビジネルモデルに強みのある大手SIer企業
まとめ
本記事では、大手SIer企業の特徴的なビジネスモデルについてまとめました。
差別化が難しいSIer業界ですが、その中でも下記の3社は、強みとなる特徴的なビジネスモデルを持っています。
- オービック
- 野村総研(NRI)
- 日立製作所
企業研究の参考にしてみてください。
下記の記事では、大手SIer企業12社の副業事情についてまとめています。昨今のトレンドから、SIer企業も大きく変化しているようです。
SIerって副業できる?大手12社の副業事情まとめ|リアルな実体験あり最後までお読み頂きありがとうございました。