SIer各社の生成AIの取り組みは?
文章や画像、音声など、様々なコンテンツを生成することができるAIのこと。
OpenAI社が2022年11月に公開したChatGPTは、公開2か月で世界のユーザー数が1億人に達するほど急速に拡大している、大注目の技術トレンドです。
SIerへの転職を考えている方の中には、
- 生成AIがSIerのビジネスに与える影響は?
- SIerの生成AI関連の取り組みは?
- もしかして生成AIでSIerはオワコン?
などなど、気になる方も多いのではないでしょうか。
結論、SIerは生成AIの活用に重要なポジションを担っており、SIer各社は続々と取り組みを始めています。
SIer各社の最新の取り込みを見ていきましょう!
今回の記事では、大手SIer企業6社の最新の生成AIに関する取り組みをまとめました。
SIerが生成AIをどのようにビジネスにしようとしているのか、ぜひ参考にしてみてください。
なお、この記事の最終更新は2023/11/17です。
気になる取り組みがあれば、各社のホームページなどで最新の情報をチェックすることをおすすめします。
生成AI活用におけるSIerの役割
生成AIで最も有名なのは、OpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Bard」といった文章生成AIです。
また、それ以外にも様々なタイプの生成AIが誕生しています。
文章生成AI | ChatGPT(提供元:OpenAI)、Bard(提供元:Google) |
画像生成AI | Stable Diffusion(提供元:Stability AI) |
動画生成AI | Imagen Video(提供元:Google) |
音声生成AI | Whisper(提供元:OpenAI) |
これらは素晴らしい技術である一方で、これらは業務システムの”エンジン”に過ぎません。
これらを企業が業務利用するためには、
- そもそも生成AIをどの業務で、どのように活用するか?
- その目的を達成するために最適な生成AIはどれか?
- その他に必要な技術やシステム連携はあるか?(RPAや社内シスとの連携など)
- それらをどのようにシステム開発するか?
などの検討が必要になります。
こういったITコンサルやシステム実装は、古くからSIerが得意にしてきた分野です。
今回、生成AIという新たなトレンドに対しても、SIerは重要な役割を担うと考えます。
早速、SIer各社の取り組みをチェックしていきましょう。
大手SIer企業の生成AI(ChatGPT等)の取り組み
早速生成AI関連の取り組みを行なっている日経大手SIer企業6社の取り組みについてご紹介します。
- 富士通
- NEC
- 日立製作所
- NTTデータ
- SCSK
- CTC
富士通は2023年5月から、東京工業大学・東北大学・理化学研究所とのコラボで、スーパーコンピュータ「富岳」を活用した大規模言語モデル(生成AI)の研究開発を実施しています。
ChatGPTなどは英語をベースに学習をしているため、日本語の精度が低いという課題があります。
そういった課題に対して、将来的には、日本語に特化した生成AIの開発に繋げる狙いがあるとのこと。
自社でスパコンを保有する富士通ならではの壮大な取り組みです。
2020年に富士通からスピンオフされたRidgelinz(リッジラインズ)。
富士通の100%子会社のDXコンサルファームです。
2023年5月15日から「生成系AIコンサルティングサービス」の提供を開始しました。
本サービスにより、生成AIを活用したクライアントの業務改革の実現や新サービスの創出を支援します。
独自の生成AIを活用し、大量の電子顕微鏡画像からタンパク質の構造変化を広範囲に予測できるAI創薬技術を2023年1月に開発しました。
タンパク質は病気のメカニズムに深く関わっており、創薬開発においても、標的となる細胞のたんぱく質構造を理解することが重要です。
しかし、標的タンパク質の広範囲な構造変化を捉える上では、高度な専門知識や長期におよぶ研究期間、多くの研究開発費用が求められることが課題でした。
富士通の生成AIを活用することで、創薬プロセスの短期化、低コスト化が期待されます。
北海道銀行や北陸銀行を傘下にもつ、ほくほくフィナンシャルグループと、銀行業務への生成AI適用を実証実験しています。
銀行業は規制が厳しく、ミスが許されない業務が多いので、生成AIの適用はまだまだ慎重な領域です。
実証実験を通じて、銀行業務の中で生成AIが適用できるユースケースの洗い出しや実証を行うとされています。
その他にも、富士通は自社のAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi」をベースに様々な生成AIのサービスを提供しています。
詳細や最新情報は富士通のHPを確認してみてください。
NECは2023年5月、アクセンチュア・三井住友海上とChatGPTを活用した交通事故対応サービスを開発しました。
コールセンターなどにおける事故対応業務では、事故類型や状況に応じて、適切な対応案を提案する必要があります。
一方、経験の浅いオペレータでは対応が難しいという課題がありました。
この課題に対し、生成AIを利用することで、対応を標準化し顧客満足度の向上を目指します。
NECがAIモデル開発を行い、アクセンチュアがプロジェクトの推進や、AI連携基盤を提供します。
2023年4月、シリコンバレーで新事業開発をしているNEC X(NECの子会社)は、「Qualitative Intelligence」を設立しました。
生成AIと自然言語処理アルゴリズムを用いたマーケティングコンテンツ作成プラットフォームを提供をしています。
生成AIと自然言語処理を組み合わせることで、SNS上の顧客の声を分析し、トレンドやその背景にある社会的な文脈を理解することができます。
専門家不要で、誰でも簡単に、記事・ソーシャルメディア投稿などの最適化されたコンテンツを作成することが可能です。
2023年7月、日本市場のニーズに合わせた専用ハードウェア、ソフトウェア、コンサルティングサービスなどを提供する「NEC Generative AI Service」を立ち上げました。
日本語に特化した生成AIモデルを提供する方針が示され、2023年10月に初めて公開されました。
また、同2023年7月には、生成AIの専門組織「NEC Generative AI Hub」を新設。
NECはこれら生成AI関連事業において今後3年間で約500億円の売上を目指しています。
その他、最新の取り組みはNECのHPなどでご確認ください。
日立製作所は2023年5月に「ジェネレーティブAIセンター」を創設しました。
生成AIに対して知見を有する社内のスペシャリストを集結し、生成AI活用を推進するCoE組織です。
今、日立製作所が強力に推進している”Lumada事業”に生成AIを組み込み、事業を加速することが目的です。
具体的には、生成AIの利用を検討しているクライアントに対して、生成AIの先端的なユースケースなどを提案するコンサルティングサービスを提供します。
今後、本組織が中心となって、生成系AIを日立製作所グループ32万人のさまざまな業務で利用予定。
適用する業務は、文章の作成・要約や翻訳、ソースコード作成などです。
社内でもノウハウやユースケースを蓄積しつつ、顧客にも還元するという価値創出サイクルを回していく予定です。
可能な限りコーディングをせずに効率的なシステム開発を行う「ローコード開発」ツールに生成AIを組み込ませています。
マイクロソフト社のローコードプラットフォーム「 Microsoft Power Platform 」の利用に関して、導入コンサルティング/PoC/構築、の3つのフェーズで、業務での生成AI活用における課題の掘り起こしから業務アプリケーションのプロトタイプ作成、利用効果目標の設定と評価、アプリケーション構築・導入までを支援します。
日立ソリューションズのインドの研究開発拠点とコラボしています。
また、企業の課題に応じて、ご利用中のローコードアプリケーションへの適用も可能とのこと。
日立製作所の小島社長は、生成AIを歴史上のブレイクスルーと評するなど、社として注力する方針を明言しています。
次々と関連サービスが提供されることが予測されます。
最新情報は日立製作所のHPなどをご確認ください。
NTTデータの親会社NTTは、独自の生成AIを開発し2023年度内にサービス開始すると報じられました。
AIモデルの規模はChatGPTなどには及びませんが、金融や医療など分野を絞り小型化することで、より安価な提供を目指すとのことです。
「国産生成AI」として、幅広い用途に活用できる汎用型の生成AIとの差別化を狙っています。
また、子IT会社にNTTデータが生成AIの開発や導入に深く関わってくるのは間違いないでしょう。
NTTデータの主力事業であるシステム開発に生成AIを適用する方針が示されています。
マンパワーのかかるシステム開発プロセスの効率化は、原価の低減など、SIerに大きなメリットをもたらします。
また、NTTデータはプログラミング工程だけでなく要件定義からテストまで、すべての工程において活用を進めていく方針です。
既に生成AIを活用した開発案件を欧州の大規模金融機関とPoCを実施しており、高い生産性の実現を確認しているとのこと、
将来的には、生成AIの活用を前提とした次世代開発プロセスを整備し、グローバルの全社員19.5万人に適用する予定です。
業界最大手のNTTデータが生成AI前提の開発プロセスを整備することで、SIerの在り方が大きく変わるかもしれません。
とても注目度の高い取り組みです。
最新の動向はNTTデータのHPなどでご確認ください。
SCSKでは、自社専用環境に生成AI「SCSK Generative AI」を構築し、全役職員が業務での利用を開始しました。
また、利用にあたり役職員が生成系AIを安全・安心に利活用できる環境およびガイドラインを整備しました。
生成系AIを積極的に活用することで、 業務の効率化・生産性向上に資する製品・サービスの創出を目指します。
自社のクラウド型コンタクトセンターサービス「PrimeTiaas」に生成AI機能を具備しました。
オペレーターの応対音声の内容をリアルタイムに要約・出力することで、現場業務を効率化します。
自社の得意領域に生成AIを活用することで、さらなる価値提供を目指します。
CTCでは、生成AIの活用についてのコンサルティングサービス「生成AIアドバイザリーサービス」を開始しました。
生成AI活用方法の提案や、生成AIに投げかける文章(プロンプト)のコンサル、システム構成等についてのアドバイスを行います。
1年間で30社への提供を目指します。
なお、2023年4月には、AIの利活用をビジネス変革に繋げる体制として、AXタスクフォースが社内に設置なされるなど、AIの業務適用に力を入れています。
日本語特化の生成AIモデルを持つrinnaと協業することで、顧客の業務や目的に沿った専用生成AIのサービス開発を目指します。
rinnaは日本語環境での活用に適していることに加え、オンプレミスでの構築が可能なため、社内のネットワーク上で安全に構築し管理することができます。
独自の強みを持つベンダーと協業することで、生成AIビジネスの拡大を目指します。
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大手SIer企業の生成AI(ChatGPT等)の取り組み
まとめ
本記事では、大手SIer企業6社の最新の生成AIに関する取り組みをまとめました。
ChatGPTなどの生成AIは、SIer企業にとっても大きなビジネスチャンスです。
生成AIによって、SIer企業での働き方やビジネスモデルが大きく変わってくるかもしれません
また、今回取り上げなかったSIerについても、気になる会社があればHPなどを調べてみてください。
下記の記事では、大手SIer企業11社の営業利益率についてまとめています。
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最後までお読み頂きありがとうございました。